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イギリス英語の綴り方

日本発海外向けの英語コンテンツを作成するとき、対象市場や目的によっては、イギリス英語を選ぶことがあります。中国語商圏を重視してアジア市場への展開を考えるケースが多めです。欧州での展開もイギリス英語になります。今日は、無理なくイギリス英語で書く方法について考えてみます。

スペリングの違いは校正ツールで一括チェック

文字情報として見たとき、アメリカ英語とイギリス英語にはさまざまなスペリングの違いがあります。アメリカ英語だけに触れてきた人には、あれ?スペル間違ってない?と違和感があるかもしれません。アメリカ英語のスペリングは、辞書で有名なウェブスターさんがスペリング改革運動を通して、発音に忠実なスペリングに統一しようと努力した結果です。今では、アメリカ人にとってイギリスのスペリングはヨーロッパの香り漂うオシャレな印象があるようですが、外国人にとっては、アメリカ英語の方がシンプルで覚えやすいと思います

スペリングの違いの例
イギリス英語 アメリカ英語
-ise
globalise, localise
-ize
globalize, localize
-yse
analyse, paralyse
-lyze
analyze, paralyze
-our
colour, honour
-or
color, honor
-re

centre, theatre
-er
center, theater
-ll-
travelled, modelling
-l-
traveled, modeling
-t
learnt, spoilt
-ed
learned, spoiled

ただし、ネイティブレベルのイギリス英語を目指さない限り、スペリングの違いを覚える必要はありません。メールソフトや文書作成ソフトの校正ツールを「イギリス英語」に設定すれば問題なく修正してくれます。ウェブブラウザ上のメーラーやSNS、コンタクトフォームをよく使う人には、Grammerlyという英語校正ツールが便利。アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ英語に対応しています。使い方は日本語でも検索できますが、英語ライティングサービスでは、ツールの紹介も含めて、英語発信のための環境整備もお手伝いしています。

商品紹介は要注意

イギリス英語が浸透している地域に向けて英語で伝える場合に、注意が必要なのが、意味が異なる単語の数々。有名なものでは、サッカーは、イギリス英語ではfootball、アメリカ英語ではsoccer。地下鉄は、イギリス英語ではundergraoundやtube、アメリカ英語ではsubway。建物の1階2階は、イギリス英語ではground floorとfirst floor、アメリカ英語ではfirst floorとsecond floorとなります。

日本語にも、「えらい」「なげる」など、地方によって意味が異なる言葉があります。ちょっとした笑い話が生まれることはありますが、文脈を読みながら乗り越えられるギャップがほとんどです。同様に、英語圏で長く生活していれば、エンターテイメントやニュース、教材などで、イギリス、アメリカどちらの英語にも触れる機会があるので、お互いを理解し合うことに大きな支障はないようです。

ただし、コンシューマー向けの商品・サービスを海外展開したい場合、商品名称は十分に注意しておきたいところ。例えば、アパレル系はアメリカとイギリスでまったく違うものを意味する言葉があり、混乱してしまいます。

アパレル系の商品カテゴリー例
イギリス英語 アメリカ英語 日本では
trousers
pants
ズボン、パンツ
pants
underwear, panties
ショーツ、下着のパンツ
vest
undershirt
肌着、下着のシャツ
waistcoat
vest
ベスト、チョッキ
jumper, pullover
sweater
セーター
trainers
sneakers
スニーカー
handbag
purse
ハンドバッグ

”pants”などは、よくジョークにされるほど意味が違います。商品紹介などの際は、現地の英語メディアや競合ブランドの英語サイトなどを確認しておくといいと思います。

習うより慣れるイギリス英語

日本で暮らしていると、イギリス英語に触れる機会はそれほど多くありません。イギリス英語が使われている国や地域でビジネスを展開したい、イギリス英語を使う人と交流したい、そんな場合は、好きなジャンルのイギリスメディアを定期的にのぞき見するといいと思います。

 ビジネスでイギリス英語を使いたい場合は、主要メディアBBCのサイトで好きなジャンルの記事を毎日1,2種類読んでみる習慣にするといいと思います。購読は有料ですが、Financial TimesThe Economistもビジネスマンには読み応えがあります。一部無料記事もあるので、たまにのぞいてみてください。

イギリスらしいカルチャーマガジンと言えば、創刊120年のTatler。「ソサエティ」寄りの情報誌で、王室関連や上流社会のゴシップやライフスタイルをのぞき見できます。アジア市場向けのTatler Asiaも充実しています。いわゆるAsian Richの世界が手に取るように伝わります。イギリス英語から少々脱線しますが、このアジアのラグジュアリーセグメントにアプローチしたい日本ブランドは多いのです。一筋縄ではいかないこのセグメントの生態をのぞき見できるメディアです。

イギリスの日常生活を知るには、庶民派スーパーマーケットTescoのオンラインショップを徘徊するのも楽しいです。品揃え豊富で、食品、日用品やアパレルの商品カテゴリーに使われている言葉を確認できます。

お料理好き&写真好きさんにおススメしたいのが、ウェブサイトも店舗もプレゼンテーション上手なスーパーマーケットチェーンWaitroseが発行しているオンラインマガジン。映える写真に、平易な言葉でわかりやすく、それでいてほんのり情緒が漂うキャプションが添えられていて、読みやすいです。ふた昔前くらいは、イギリスは食事が不味い国という噂が根強かったのですが、どんどん進化しているイギリスの食文化。一般家庭の食卓もかなり豊かになりました。

学術系でおススメは、世界有数の科学ジャーナルNature。研究者向けなので内容はかなりマニアック、記事もほとんど有料です。が、見出しだけ斜め読みするのが楽しいのです。科学ジャーナルだけあって、10語程度の短いフレーズの中に、因果関係や論説の構造がズバリ端的に表現されています。舌を噛みそうな学術用語や専門用語は読み飛ばして、フレーズの構文や言い回しだけ見るだけでも、世界の先端で、今何が起こりつつあるかが感じられ、ワクワクをそそられます。

「勉強しない」イギリス英語の楽しみ方を少しだけご紹介しましたが、今後もスクリーン越しのイギリス体験をお届けしたいと思います。

“お犬の暮らしも、イギリスとアメリカで違いがあるよ。犬界に国境はないんだけどな。"